これまでもずっと賛否両論のある「ジュニア期の筋トレの是非」ですが、わたしはジュニア期も筋トレに取り組むべきだと考えています。

 

最近、ある選手のセッションを担当し、ますますその考えが強くなりました。

 

その選手はパフォーマンスが非常に高く、全国大会でも良い成績を残せるような実力を持っています。

しかし、あっさりと負けることもあり…さらにはケガをしがち。

選手生命を脅かすような重大な故障ではありませんが、マイナートラブルや数日の安静が必要なケガをよく起こしてしまいます。

 

 

ケガの原因を考えると、アクシデント的な要因はなく、関節可動域は広く、プレー動作も問題ない、、、となると、疲労の蓄積と筋力不足が大きな要因となっていると考えられます。

 

実際にインボディ(体組成計)を用いて筋肉量を計測してみると、体脂肪率が高くとてもパフォーマンスに見合ったフィジカルとは思えませんでした。

 

簡単に負けてしまうときがあるのは、筋力(フィジカル)不足によりプレーの質が安定させられず好不調の波が大きいのだと思います。

 

 

では、なぜ、

全国大会で良い成績を残せることがあるのでしょうか。

 

おそらく、勝負勘であったり相手のプレーを読む能力や駆け引きといった面に長けているのでしょう。

 

多くの選手はこういった能力を試合を重ねることで獲得しているのですが、フィジカルが成熟する前に獲得しているのはかなり稀なケースかもしれません。俗に言う「生まれ持ったセンス」がずば抜けているのでしょう。

 

 

こうしたタイプの選手を見ると、やはり「センスだけでは限界が来る」という現実を実感します。

もちろん、ジュニア期において“センスがある”というのは大きなアドバンテージです。しかし、それはあくまで“入口”であって、そこから先のステージに進むためにはフィジカルの裏付けが欠かせません。
逆に言えば、今これだけ結果を残せているのは フィジカルが追いつけばまだまだ伸びる余地がある ということでもあります。



いまだに「ジュニア期に筋トレはよくない」「身長が伸びなくなる」といった声を聞くことがありますが、現在のスポーツ科学ではそのような根拠は否定されています。

ポイントは以下の通りです。

  1. 正しいフォームと負荷設定で行えば、成長軟骨への悪影響はない
  2. むしろ基礎筋力が不足している方が、ケガのリスクは高まる
  3. 体の使い方・姿勢の崩れを補正し、長期的な成長をサポートする

 

つまり、正しく行われる筋トレはジュニア期の成長を妨げるどころか、むしろ成長を後押しする のです。

特に、今回の選手のように筋量とパフォーマンスがアンバランスな選手ほど、筋トレが大きな意味を持ちます。

センスや技術はすでに高い。
そこにフィジカルが加われば、プレーの安定性が格段に向上します。

  • 好不調の波が小さくなる
  • 疲れにくくなる
  • ケガをしなくなる
  • 高い技術を高いレベルで発揮できる時間が伸びる


才能や勝負勘だけで勝ってきた選手が、フィジカルを身につけることで一段階も二段階も成長する姿を、私は何度も見てきました。

むしろ、ジュニア期だからこそ――
正しい動きを身につけ、基礎筋力を整え、将来の伸びしろを最大化できる絶好のタイミング なのです。


今回の選手には、これからしばらくフィジカルトレーニングを丁寧に積み上げてもらいます。
結果が出るのはすぐではありませんが、確実に“ケガのしにくい身体”と“安定したパフォーマンス”が作られていくはずです。

そして、その土台が整ったとき、彼本来のセンスや読みの鋭さがさらに際立ち、まさに「本物の選手」へと成長していくでしょう。

ジュニア期の筋トレは、未来の可能性を閉ざすどころか、むしろ大きく開いてくれる。
これからもそうした選手づくりをサポートしていきたいと改めて感じたセッションでした。

 

プラストレーナーズ
伊藤孝信